最近、中国をここ数年間訪れた数多くの日本の友人と交流した。中国は一層美しくなったと皆が言っている。実際、中国は都市部や農村部がより繁栄だけでなく、自然生態もより美しくなってきた。空はより青く、水はよりきれいになり、山はより緑豊かになっている。
中国では、かつて環境汚染が目立った時期があったが、2012年の中国共産党第18回全国代表大会以来、中国政府はこの問題の解決に一層熱心に取り組み、グリーンかつ低炭素の発展を目標とした抜本的な改革を実施し、中国の生態環境の持続的な改善を推進してきた。
最近、中国のエネルギーに関する2つの新しいデータが国際メディアから広く注目を集めている。1つは、再生可能エネルギー発電の設備容量が昨年に歴史的に火力発電を上回った後で増加を続け、今年の上半期には中国の総発電設備容量の53.8%を占めたことである。もう1つは、7月に、中国の新エネルギー乗用車の月間小売販売台数は初めて伝統的エンジン車を上回り、市場の新たな主流となったことである。この2つの「新たな躍進」は、中国の全面的なグリーントランスフォーメーション(GX)の発展の絶えざる加速を示している。
2015年から2023年にかけて、中国は県レベル以上の都市における微小粒子状物質PM2.5の平均濃度は46マイクログラム/立方メートルから30マイクログラム/立方メートルに低下し、大気質の改善が最も速い国となった。
例えば、河北省はかつて製鉄公害で「有名」だったが、ここ10年来、河北鉄鋼グループは生産プロセス全体で超低排出転換を実施している。関連会社の新工場には、鉄鋼1トン当たりの総合エネルギー消費量は62%削減され、水の消費量は46% 削減され、粒子状物質、二酸化硫黄、窒素酸化物などの主要な汚染物質は75% 削減された。陝西省楡林市は石炭が豊富だが、現在、石炭は発電に利用されているだけではない。地元のエネルギー会社や化学工業会社は黒炭を加熱、分離、触媒作用、重合によって分解可能な材料に変え、半導体、繊維、コーティング、シートなどの商品に加工している。
2023年には、中国のGDP当たりのエネルギー消費量と炭素強度は、2012年と比べてそれぞれ26%以上、35%以上減らし、「世界でエネルギー原単位の減少が最も速い国」の一つとなっている。世界のエネルギー政策を長年研究してきた米国の経済学者マイケル・グリーンストーン氏は、「このような短期間でこれほど大幅に汚染を削減できた例は歴史上見つかっていない」とコメントした。
中国の都市部や農村部では、グリーン低炭素なライフスタイルが徐々に流行りつつある。古い車を廃車にして新エネルギー車を購入することで割引がある。デリバリーアプリで注文する際に「食器不要」を選択すると二酸化炭素削減量が表示され、ポイントが貯まる。自転車で移動するとそれに応じた二酸化炭素排出削減量がアカウントに記入し、一定の条件を満たすと旅行特典が引き換え可能…… グリーン消費は新たなトレンドとなり、低炭素環境保護の理念は人々の心に深く根付いている。
中国の習近平国家主席は生態文明の建設を非常に重視しており、2012年には既にこのように述べた「我々は現代化国家を建設するには、資源を消費し環境を汚染するという古い道をたどれば、いくら地球があっても持続不可能になるだろう。」「環境優先とグリーン発展の道を揺るぎなく歩まなければならない」。2020年、習主席はニューヨークでの国連総会で、中国の二酸化炭素排出量を2030年までにピークに達させ、2060年までにカーボンニュートラルを達成するよう努力すると発表した。習主席は、デュアルカーボン目標は「他人からやれと言われることでなく、自らやると決心したことである」と強調し、GXにおける中国の戦略的イニシアチブを示した。
中国はまた、世界のグリーン・低炭素発展協力を積極的に推進している。2021年9月、習近平国家主席は、中国は今後海外で新たな石炭火力発電プロジェクトを建設しない、同時にグリーン・低炭素エネルギーへの海外投資を強化すると厳粛に発表した。アフリカのニジェールのアガデス地域では、中国能源工程集団有限公司によるディーゼル・太陽光発電補完プロジェクトが稼働し、現地地域で1日4~6時間から24時間までの無停電電力供給を実現した。インドのビリアム港では、上海振華重工業グループが建設したインド初の自動ターミナルが正式に稼働し、その第2期と第3期は2028年に完成する予定で、世界で最も環境に優しい港の一つとなる。スペインのバルセロナ港では、中国の新エネルギー車が欧州市場に参入し、この古い港に新たな活力を注入しただけでなく、地元のグリーン発展を効果的に促進した。
国連環境計画は2023年10月、環境保護分野における国連最高の栄誉である「地球大賞」を中国の新型海洋プラスチック廃棄物管理モデル「ブルーサイクル」に授与すると発表し、沿岸水域におけるプラスチック汚染の抑制に対する同モデルの傑出した貢献を表彰した。「ブルーサイクル」には浙江省の6,300人以上の人々、10,180隻の船舶及び230社以上の企業が参加し、最前線でごみを収集するグループに利益をもたらし、生態系と人々の豊かさの「ウィンウィン」を達成している。
しかし、中国のグリーン・低炭素発展の道はまだ長い。グリーン発展と経済生産、特に製造業活動の間には本質的な矛盾がある。担当機関には環境保護政策を実施するため権限がまだ十分持っておりません。排出削減に対する意識が依然として低く、後進的生産能力を保護している地方政府職員や企業が存在する。
今年の7月には、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議が開かれ、改革を一層全面的に深化させるための300以上の措置を提案した。その多くは環境保護、排出削減、新エネルギーのさらなる推進を目的としている。特にグリーン・低炭素発展をより持続可能にするための関連メカニズムとシステムの確立を重視する。この会議は中国の改革開放プロセスを推進する上でのもう一つの重要な一里塚となる。この会議によって中国の生態環境がより美しくなるのは、重要な理由の一つである。
グリーン発展は日本にとっても重要な発展目標である。 日本政府は2020年において2050年までにカーボンニュートラルを達成するとの目標を設定し、経済成長と産業転換を精力的に推進した。2021年に経済産業省は、エネルギー効率の向上を促進し、再生可能エネルギーの開発を支援し、炭素排出量を継続的に削減するグリーン成長戦略を発表した。
北海道はすでにグリーン発展への道を歩み始めている。陸上および洋上風力発電の条件が日本で最も優れている北海道では、日本最大の洋上風力発電所が石狩市に建設され、今年初めに商業運転が開始され、札幌に送電できるようになった。数多くのエネルギー会社が北海道で風力発電所への投資を計画しているようである。また、道内の重要な臨海工業都市である苫小牧市では、海中に30万トンの二酸化炭素が貯留され、これは先進技術を駆使した日本初の大規模な二酸化炭素回収・貯留実験だと伺っておる。
東アジアは世界経済発展の重要な柱であり、グリーン低炭素発展も世界の前線にあるべきだ。中国、日本、韓国などの国々は、古くから頻繁に交流を行ってきたが、将来の世代の幸福に関わるグリーン発展という使命において、我々は手を携えて協力すべきである。私は北海道での任期中、この重要な使命を積極的に果たし、中国と北海道の新エネルギー協力を推進していきたい。